ハーバードで何をしていたんだ !?

私たちはHarvard Medical SchoolのInternational students向けのプログラム(Exchange Clerkship Program)を利用してアメリカで臨床実習をしてきました。
2ヶ月間、外国人医学生として何をして、何を学んだのか簡単にお伝えしたいと思います。

簡単にハーバードの実習をまとめると...
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・Harvard Medical School (HMS) の外国人向けのプログラムでHMSの学生と同じように病院実習ができる。

・主に4つのHMS関連病院で実習が可能。
(HMSと3つの病院 BWH/BIDMC/BCHはLongwood Medical Areaという一つの場所に集まっている)
 - Massachusetts General Hospital (MGH: 歴史ある一般病院で外科が特に有名)
 - Brigham and Women's Hospital (BWH: 比較的専門性が高い病院)
 - Beth Israel Deaconess Medical Center (BIDMC: 一般~専門病院の中間くらい)
 - Boston Children's Hostpital (BCH: 小児専門病院)

・HMSの臨床実習コースはたくさんあり、そのうちの一部が外国人の医学生も希望できる。大まかに分けると内科(入院/コンサルト)、外科、特殊な専門外来/病棟が選べる。
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Longwood Medical Area
私の2ヶ月の生活範囲はここでほぼカバーされます



実際に医学生がアメリカのシステムの中で何ができるかというと...
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特にHMSについて
・どの診療科でも以下のメンバーからなるチームを組む。
 - Attending: 指導医
 - Fellow: 専門領域にフォーカスしたトレーニングを受ける医師
 - Resident/Intern: 基礎領域のトレーニングを受ける医師
 - Student: 学生

・診療科によるもののinternやresident、fellowを中心に業務を行い、attendingが指導/監督する。

・医学生が実習でできることは...
 [内科]
 - 入院している患者さんを担当する(impatient)
 - 他科からのコンサルトを受ける(consult)
 - 専門外来やかなり専門的な病棟管理の見学 (外来は問診をとれることも)

 [外科]
 - 手術への参加 (scrub-in)
 - 手術の見学
 - 病棟管理の見学/お手伝い
 - 外来の見学

・内科では担当患者の入院ノートや日頃のアップデート、他科へのコンサルトなども学生がやらせてもらえる。ノート(カルテ)も指導医のチェックの上で正式文章として登録される。
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私は1ヶ月ずつ内科を2つまわりましたので簡単に紹介したいと思います。

Neurology, Boston Children's Hospital
小児神経に特化しており、てんかんや脳炎などを扱う。
以前の投稿を参考にしてください。
私自身はとても専門性が高く、初めてのローテーションで問診も診察もカルテ記載もままならず上手く診療に参加できずとてもつらい思いをしました。
その中でも周りの学生や先生に助けてもらい、なんとか学びを得ることができたかな、という印象です。


Hematology/Oncology, Beth Israel Deaconess Medical Center
血液/腫瘍のコンサルトで実習をしました。
主に以下の疾患を扱います。
・良性血液疾患(貧血・血小板減少など)
・悪性血液疾患(白血病・リンパ腫など)
・固形腫瘍に対する化学療法

コンサルトでは他科の入院患者の問題について診察した上でアドバイスをする形で、特に良性血液疾患をよく見ます。そのほかにも悪性腫瘍の疑いがあり今後の診断・治療の方針を決めることもありました。
主にfellow 1人を中心に学生やresidentがいればチームを組んで診療し、午後にattendingと全てのコンサルトのディスカッションをします。緊急性が高い疾患の場合はその場でattendingも参加して治療方針を決めます。
私はここでも英語能力の低さや医学知識のなさに激しく悩まされながらも、簡単な問診・診察・attendingへのプレゼン・ノートの記載などをやらせてもらいました。悪性疾患を扱うこともあり、患者さんや家族といかにコミュニケーションをとるか、生死が関わる緊急性が高い場合の対応など多くのことを学べました。

特にmedical oncology (腫瘍内科)は日本ではあまり馴染みがない分野で、悪性腫瘍に対する化学療法を行います。多くは外来で化学療法を行なっており、たくさんの治験も行われていました。実習中には外来も見学することができました。
BIDMCではmedicine(一般内科)のresidency修了後に、Hematology/Oncologyのfellowship programに参加し、血液疾患も含め、コンサルト・入院・外来、さらに研究を行います。その上でmedical oncology、benign hematology、malignant hematologyとサブスペシャリティーを決めるようです。(BIDMCの場合)


BIDMCは2つのキャンパスがあり患者さんの場所によって外に出て信号を渡って移動しないといけません











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私は内科のみの実習となりましたが、
・言語や知識の問題から医学生としてできる仕事ができず、チームに上手く貢献できない
・とても専門的な知識を学生のレベルでいかに勉強するか
という2つの点に悩み、苦労したように思えます。

この留学を通してたくさん考え、学び、悩んだと思いますが、何を学べたのか、何を得たのか自分でしっかりまとめて、可能であれば他の人とシェアできればと思います。

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