ANU 呼吸器・睡眠内科

こんにちは!

最近このブログでうるさい!?おがです。
オーストラリア先発組の同期が帰ってしまって寂しいの。許して。

というのも派遣生のほとんどの人が4-5月の二ヶ月で、5-6月派遣のオーストラリア後半組を始め6月にもなってまだ海外で実習している人は数えるほどしかいないのです。(医学部最終学年にもなってまったくね、帰国したら医師・初期研修先の就活、ドウシマショウカ。)

ともかくそんなことを言っていたら今を楽しめないので、せっかくのこの海外派遣の機会、何事も全力で走り抜けて行きますよ!(あまりの脳筋っぷりに相方にドン引きされているのは気のせいだね)

さて、そんなランナーの僕だって医学生らしく少しは真面目な話ができることを見せて差し上げましょう()

ということで最初の一ヶ月で回った「呼吸器・睡眠内科」について今日はお話します。

 

呼吸器内科部門


呼吸器内科は医科歯科大学付属病院にもある通り、肺炎、肺癌、COPD(急性増悪)、胸水貯留、等の肺の病気をこちらでもメジャーに扱います。一方で5/5Rheumatology紹介でTakunaが書いているように、やはり人種的多様性のある国では特に遺伝性疾患について疫学が大きく異なります。ここではキャンベラ病院で最も多く重篤な症例、Cystic Fibrosis(肺嚢胞線維症)という病気について少し取り上げたいと思います。(どうしても医学用語を使うので、わからない人は睡眠内科部門まで読み飛ばしてください)

肺嚢胞線維症とは腺細胞に機能異常がある常染色体劣性遺伝病です。もちろん分泌系の機能はすべて大なり小なり影響されますが、最も致命的なのは呼吸器系のクリアランス低下に伴う感染症です。出生時から発症し感染が起きれば予後不良(30-40代までに感染症で亡くなる人が多いとのこと)、かつ、原因遺伝子がすでに特定されているため、こちらでは新生児スクリーニングの検査項目の一つにも含まれているそうです。

実際にグループで担当だった患者さんたちは、例えばビタミン剤ADEKを内服していたり(これらは脂溶性ビタミンですよね、膵臓のリパーゼ分泌低下等で脂質の消化吸収不良があるため補充する)、肺機能がだんだんと低下してきて肺移植を希望していたり、感染後の急性増悪のためICUで人工呼吸器につなぐもそのままお看取りとなったり。初めて遭遇した疾患のあまりの重みに戸惑うこともありましたが、先生方の丁寧なご指導と患者の皆様のご協力のもとLong Caseを担当させてもらいました。




 睡眠内科部門

前回の投稿でオーストラリアの隠れ肥満大国っぷりについて話しましたね。
では高度の肥満の人が、夜に睡眠時間を確保しても日中眠いといえば?

 そう、
「睡眠時無呼吸症候群」。
 

このワラビーのように、ですね、仰向け(!?)に寝ると、顎のお肉が喉の気道を塞いで空気の通り道が狭くなるから、苦しくなって夜間の眠りが浅くなる病気でした。

確定診断のためにポリソムノグラフィーという検査をおこない、脳波、筋電図(筋肉の動き)、鼻に付けたセンサーからの呼吸リズムの具合、などから判断します。


僕が一番忙しかった週は、肺血栓塞栓症(日本では循環器内科担当かもだけどキャンベラ病院では呼吸器が担当しました)が救急外来から何人も連続で運ばれて来ていて、まあそれはそれは、そういう体型の人だし、ポリソムノグラフィーさんも大活躍でした。


 

上記の病棟管理以外にも、外来や気管支鏡検査を見学させてもらったり、救急部からの入院受付について行ったり。ゆったりモードのオーストラリア組の中では珍しく、あちこちに顔を出していたつもりです。

その中でも様々な発見があったからこうして書いているわけですが(相方をじっと見る笑)。疫学の違いに絡めて印象的だったこととしてもう一つ、精神科疾患の頻度が高いということを紹介したいと思います。
問診をする中で、30-40%程度の患者さんから、うつ病・パニック障害・不安障害などの精神的不調で治療した既往があるという話を聞きます。紹介している通り、日本に比べて格段にワークライフバランスが整っているこのオーストラリアでの話ですよ。つまり外的ストレスが日本に比べて極端に大きいとは思えないにもかかわらず、患者数が圧倒的に多いということです。
これらを踏まえると、個人的な印象として、日本人は我慢強いというべきか、精神科に対する抵抗感や偏見が強いというべきか。日本には潜在的な患者がたくさんいてもおかしくない。抗精神病薬の開発のおかげで治療できる可能性があるのに、必要以上の根性論で自分だけで抱え込んでいる人はたくさん存在し得る。

そう考えると、やはり、治療が必要な人に医療を届けるって単純なようで本当に難しいなと。

このようにふとした瞬間に感じる違いから考えさせられることは日々本当に多いです。もちろん環境を変えることは非効率的という意見も否定できませんが、このような発見の積み重ねというのは「留学のすゝめ」の一端ではないでしょうか?


ということでたまには真面目モードのおがでした。
こう見えて実習はきちんと真面目に行っているのでご心配なく()


ということで次回もお楽しみに! 


おが

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