消えた休日

こんにちは、Koichiroです。
現在Beth Israel  Deaconess Medical Centerにて Sleep Disorders Medicineをローテしています。実習の概要は5月末にまとめて書きますが、今日は



【ひ弱な24歳がたった一回の夜勤で完全に体調を崩した話】




をお送りします。


先々週の金曜日18時に実習が終わった後、22時から郊外のSleep study centerという施設で夜勤実習がありました。はじめは遠足気分でちょっと楽しみでさえありました。
はじめは…


Boston中心地から電車で1時間強



睡眠障害で悩む患者さんの治療を行うためには、まず睡眠の状態を把握する必要があります。そのために郊外の静かな場所で一晩寝てもらい、睡眠中の脳波や呼吸、筋肉の動きをモニターするのです。保険なしだと20万円以上かかるそうです!


実習内容としては、パソコンがずらりと並べられた部屋で10人程度の患者さんの脳波モニターを確認し、何か問題があると患者さんの部屋に行って器具の調整を行うといったものです。




夜食にピザが用意されます。さすがアメリカ




患者さんに問題が生じて部屋に駆けつけることは多くなく、基本的にはモニターと睨めっこ、残りの時間はトップの上級医がひたすら睡眠障害について語ります。
睡眠障害を専門にして2,30年、睡眠のことなら誰よりも詳しそうな先生で話題が尽きません。



初めはふんふんと聴いていましたが、1時を回ったところでふと気付きました




休憩時間……ないの………?




仮眠・休憩室といった場所はなく、基本的に皆モニタールームにいます。そして上級医がモニターの解説をするか睡眠障害について話し続けるかのどちらかしかなく、皆円をなしてその話を聴き続けるのです。え、ちょっと休憩、とか、ないの…?先生、疲れないの??ピザ冷め切ってるよ???


あれ、これは嫌な予感…



3時を過ぎたあたりでなんとなく寒気を感じ始め、頭が少し痛くなってきました。先生方のディスカッションは止まりません。おそらくこれが一番の問題だったのですが、1ヶ月半のハードな実習の中で先生の言葉は一言一句聴き逃すまいと集中する習慣ができてしまっているので、適当に聴き流すことができません。聴き流そうとしても中途半端に拾ってしまって気はずっと張ったまま。そりゃ疲れます。
頭痛がひどい。もはや頭痛が痛いといっても過言ではないかもしれない。これはあかんと思いiPadを開き少し本を読んで気分転換しようとした瞬間、


「君、iPadのスクリーンを見てないでこちらを向いて話を聴きなさい」


上級医から追い討ちの一言。
これは終わった……






心が無の状態で時間が過ぎて行きました



6時に夜勤が終了し、案の定体調は絶望的。主訴、頭痛腹痛吐き気寒気。


帰宅後あまりにしんどかったため"半分が優しさでできているおくすり"を飲んでひたすら寝てました。寝て寝て寝て、なんと気づけば日曜日の朝。あれ、金曜日のあと土曜日ってやつなかったっけ…?ない?あ、そっか。ごめん。
真偽の程は夢の中。でも病院に行くことにならずに済んでよかったです。




この災難で得た教訓は以下の3つ


  1. やっぱり健康は大切
あまりに月並みですが、健康の大切さは一度失ってみないと真に理解することはできません。残りの生活は体を労わりながら頑張っていこうと思います。


  1. 自分の健康を過信しない
普段夜更かしが得意なこともあり調子に乗って事前に仮眠もとらずに夜勤に参加したことが大きな失敗でした。健康に関しては心配性くらいがちょうどいい。


  1. 体調不良を伝える勇気
後から気づきましたが、体調不良を自覚した時点で先生にお願いして仮眠をとるor早退することもできたかもしれないということ。なんでも完璧にやりきろうとするのではなくしんどい時はしんどいと周りに伝えて休む勇気も必要だろうと思いました。


以上です。慣れない環境で無理をすると体はちゃんと悲鳴をあげるんだなぁと実感しました。とても良い経験でした。

p.s.


20時間睡眠によって体内時計が完全に狂ってしまい、まさかの時差ボケになりました(意外とつらい)。実は時差ボケ(jet lag)も立派なsleep disorderの一つです。体は睡眠を欲する時間帯に睡眠をとらないと質が保てずにいくら寝ても疲労が取れない仕組みになっていて、この時間帯がずれてしまっているわけです。睡眠を欲する時間帯を元に戻してあげるために、医学的な正しい対処法があります。本当に効果があるか、自分の体で実験してみましたが効果てきめんでした。

こんなところで日頃の勉強の成果を発揮することになるとは…トホホ

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